50歳をすぎて、心と体にいろいろな変化が表れてきた。
男性にも更年期があると言われるが、まさにそんな状態だ。
個人的には、職場の異動があり、さらにストレスがかかっていた。
もともと仕事ができるほうではない。
思ったように業務が進まず、「こんなはずじゃ…」と。
まわりからもポンコツ扱い、かなり落ち込んだ。
そんな時に出会ったのがこの本。
『自衛隊メンタル教官が教える・50代から心を整える技術』
著者の下園壮太氏は、陸上自衛隊初の心理教官を務め、自衛隊の衛生隊員などにメンタルヘルス、コンバットストレス(惨事ストレス)対策を教育。「自殺・事故のアフターケアチーム」のメンバーとして約300件以上の自殺や事故に関わる。自身も56歳で自衛隊を定年退官し、現在はメンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、講演などを実施している。
彼によると、50代が直面する3つの変化 があるという。
1、地頭・地こころが低下する
記憶力の低下は「自信の喪失」と強く関わるので、気持ちが沈む原因となる
2、新たなことへのチャレンジ意欲が低下する
これまでのやり方でなんとか生きてこれたのだから、わざわざリスクの大きい「変化」を選択する必要はないとあなたの本能が判断する
3、ストレス耐性が低下する
エネルギーそのものが低下しているので怒りを抑制できなくなり、怒りに乗っ取られやすくなる
生き方は急には変えられない。
だからこのことをしっかり認識し、「10年かけてハンドルを切る準備」をするということなのだ。
個人的にすごく共感できたこと、それは
“価値観ほぐし”
年齢を重ねるにしたがって「できるはずだったのに、十分にできなくなる」出来事が増えてくる。
誰だって落ち込む。
「落ち込む自分を認めながらも、もう一つの考え方をプラスしていく」
ということ。
自信は、向き合う「課題」と「自己イメージ」のギャップから生まれ、そのギャップが大きくなるほど人は自信をなくす。
自己イメージは、あくまでも自分が作り出したイメージ。そのときどきの状況や条件によって大きくなったりしぼんだりする。実体とはかけはなれているもの。
価値観をほぐせば、その自信が揺らがなくなる。
私たちは、どうしても「表に出てきている問題」を直接修正しようとする。
しかし、自信や価値観が適切であれば、表面的な問題が「問題でなくなる」ことが多いのだ。
目には見えないけれど、とても大切なのが価値観。
価値観は「人というもの」をどう理解するか…というものさしでもある。
人はそもそもいろいろで、複雑にできている。
それを理解するために、下園氏は次の12の特徴を挙げている。
『人の心の12の特徴』
- 人は一貫しないもの
- 感情や欲求はなくせない
- 人はそれぞれ、正義もそれぞれ
- 人はなかなか変わらない、成長しない
- でも、人は変われる
- 人の言動、反応にはそれなりの理由がある
- 人は物語を見つけ、安心したい
- 人はエネルギーを使いたくない(怠けたい)もの
- 人間関係のトラブルは当たり前に起こる
- 人は他人をコントロールしたがる
- 人は自分を責めやすい
- 人は過去の記憶と将来の不安にとらわれやすい
下園氏曰く、
「これが人間の本質であり、等身大の姿。ナチュラルな姿の人間には、えげつない部分がいっぱいある。だから、“努力目標”としての教えがつくられてきた。“一貫しなければいけない” “皆と仲良くすべき” “怠けてはいけない” など。」
「小さい頃から叩き込まれてきたので、そのうち多くの人が “それが人間” と勘違いしてしまった。その勘違いの目で、現実の人間を見ると、その行動はあまりにもひどいと感じてしまう。」
「自分の行動を振り返って自己嫌悪に陥るし、人の言動に対しても怒りを感じやすくなる。」
何もこれは50代に限った話ではない。
「定年後」は「うつからのリハビリ」と共通点が多いらしい。
どちらも、
- 環境がリセットされる
- 自分を含めた状況がどんどん変化するので、これまでとは違う目標の立て方が必要になる
- 簡単じゃない
ということらしい。
これは、年齢に関係なく誰もが遭遇する可能性がある。
それを知ることによって、少しでも楽に生きれたら幸いである。
この本には他にも興味深い内容がいっぱいだ。
是非、読んでみてほしい。
最後までお読みいただきありがとうございます^_^;